こんにちは。
Analog Kid Notesへようこそ。
Rushは最初から、僕たちが知っている「Rush」だったわけではありません。
今回、久しぶりに1stアルバム『Rush』から『2112』まで、初期の4作品を順番に聴き直してみました。
こうして続けて聴いてみると、ストレートなハードロックバンドだったRushが、Neil Peartの加入によって大きく変化し、少しずつ「Rushにしかできない音楽」を作り上げていく過程が見えてきます。
そして『2112』で、そのひとつの完成形にたどり着いた。
今回は、そんな「RushがRushになるまで」をたどってみたいと思います。
『Rush』― まだブルースの匂いが残っていた
1974年に発表された1stアルバム『Rush』。
今あらためて聴いて最初に感じたのは、
「やっぱりハードロックだな」
ということでした。
そして、かなりブルースの匂いも感じます。
後のRushを知っている耳で聴くと、驚くほどストレートで荒々しい。
僕には、Rushのアルバムの中で、ここまでブルースっぽさを感じるのは、この1枚だけのように思えます。
この頃のドラマーはNeil Peartではなく、John Rutsey。
Geddy Leeは自伝の中で、当時のバンド内に音楽性の違いがあったことを振り返っています。
その後Neilが加入したことで、Rushの音楽は大きく変わっていきます。
『Fly by Night』― 3人のRushが動き始める
2ndアルバム『Fly by Night』。
1stから続けて聴くと、その変化には驚きます。
まず、リズムがガラッと変わった。
そして曲そのものも、一気にバラエティ豊かになったように感じます。
変拍子があり、アコースティックな曲があり、ロックンロール調の曲もある。
Neil Peartがドラマーとして加入したことはもちろんですが、彼が作詞を担当するようになったことも、この変化と無関係ではないと思います。
歌詞の世界が広がれば、それを表現する音楽も広がっていく。
「By-Tor & the Snow Dog」のような物語性を持った曲も登場し、ここから僕たちの知っているRushが始まったように感じます。
Rushというバンド全体については「Rushとはどんなバンド?初心者向けに魅力を分かりやすく解説」でも紹介しています。
『Caress of Steel』― 大曲への挑戦
そして3rdアルバム『Caress of Steel』。
ここでは「The Necromancer」と「The Fountain of Lamneth」という大曲が登場します。
ここまで来ると、もうRushらしさははっきり出ていると思います。
AlexとGeddyが生み出すリフやメロディ。
その一つ一つは、それぞれ別の曲にできそうなくらい、いろいろなアイデアが詰まっています。
それらのピースを一つにつないでいるのが、Neil Peartの小説のような歌詞です。
物語が進むにつれて、音楽も姿を変えていく。
何曲にもできそうな音楽の素材を、ひとつの物語が大きな作品にしている。
これは、この3人じゃないとできなかった音楽なんじゃないか。
久しぶりに聴いて、あらためてそう感じました。
そして、この挑戦が次の『2112』へつながっていきます。
『2112』― ひとつの完成形へ
そして、とうとう『2112』。
久しぶりにアルバムを最初から最後まで聴いてみました。
やっぱりタイトル曲「2112」は、ひとつの完成形だと思います。
「2112」はRush初心者におすすめのアルバム5選|最初に聴くならこれ!でも選んだアルバムです。
20分を超える大曲なのに、僕には飽きるところがありません。
次々に現れるリフとメロディ。激しいところと静かなところ。その抑揚まで考え抜かれているように感じます。
『Caress of Steel』で挑戦した大曲というスタイルが、ここでひとつの形になった。
そして「2112」の魅力を語るうえで、もうひとつ忘れてはいけないものがあります。
Neil Peartの歌詞です。
未来の管理された社会で、主人公は過去の時代に作られたギターを発見します。
自分で音を鳴らし、音楽を生み出す喜びを知る。
ところが、その世界を支配する者たちは、それを受け入れない。
なぜなのか。
物語そのものは分かりやすい。でも、その中には「個性とは何か」「自分で考えるとはどういうことか」「創造する自由とは何か」といったテーマが込められているように僕には思えます。
「2112」は未来社会を描いた物語ですが、今の時代に聴いても、どこか現代社会に通じるものがあるように感じます。
周りと同じであることを求められること。
自分で考えること。
そして、自分らしく表現すること。
50年前に作られたSF作品なのに、今聴いても古く感じないのは、そんな普遍的なテーマが描かれているからなのかもしれません。
そして歌詞の意味を知ってから聴くと、音楽の聴こえ方まで変わってきます。
Rushは演奏だけじゃない
僕は昔から、
「RushのMVには日本語字幕を入れてほしい」
と思っていました。
日本でRushを聴いていると、どうしても英語の歌詞はそのままでは理解できません。
もちろんRushは、演奏を聴くだけでもすごいバンドです。
僕自身、高校生の頃に初めてRushを知ったとき、衝撃を受けたのはNeil Peartのドラムでした。
でも長く聴き続けてきた今は、それだけじゃないと思っています。
Rushにとって歌詞も音楽の重要な一部です。
歌詞の意味を知らずに聴いていた頃の僕は、Rushの魅力の半分くらいしか分かっていなかったんじゃないか。
そんな気さえします。
だからこのブログでは、曲の意味やNeil Peartが描いた世界についても、自分なりに伝えていきたいと思っています。
このブログでは「The Analog Kid」や「Subdivisions」についても、歌詞の意味を自分なりに読み解いています。
それを知ってから、もう一度Rushを聴いてみてほしい。
同じ曲なのに、今までとは少し違って聴こえるかもしれません。
まとめ―RushがRushになった4枚
1st『Rush』にあった、ブルースの匂いが残るストレートなハードロック。
Neil Peartが加入した『Fly by Night』で、リズムも曲も歌詞の世界も大きく広がりました。
『Caress of Steel』では、リフやメロディと物語を結びつけた大曲へ挑戦。
そして『2112』で、そのスタイルはひとつの完成形にたどり着いた。
今回、4枚を続けて聴き直してみて、Rushが少しずつRushになっていく過程をあらためて感じることができました。
でも、彼らはここで止まりません。
『2112』で自分たちのスタイルを確立したRushは、次の作品から、また新しい方向へ進んでいきます。
Rushは、同じ場所にとどまらないバンドだから。
次回は、その先の時代を聴いていきたいと思います。


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